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    プールと仕事と苦労性と……in 困ったくまちゃんの理事長室

    ご無沙汰してます。
    こちらでも続き物を止めていたので、ちょろっと書いておきますね。

    ただし、今回の理事長様はちょっとダメダメです(^^;
    啓太に枯渇しています。あーそれはいつもと一緒か(おい)
    ”大人でカッコよくて仕事なんかへっちゃらさ!”な彼を期待してる方すみません。
    今回のサブタイトルは『石塚さん最強伝説。飴と鞭』って所でしょうか。

    それでもよろしい方は続きをどうぞ(^^)v

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     中嶋には笑われ、痕の残る首筋を押さえながら啓太は心の中で和希への罵倒を繰り返していた。
     そこへ。
    「啓太…首を、どうかしたのか?」
     早い段階で暑さにやられてダウンし(笑)篠宮に休憩を命じられていたはずの岩井が全員分のスポーツドリンクを抱えて現れた。
    「い、岩井さん……え、あ、なっ…なんでもないです!」
    「なら、いいが……」
    「岩井さんこそもう大丈夫なんですか?」
    「あぁ、心配をかけてすまない」
     そうして岩井から冷えたアルミ缶を手渡される。
     中嶋も短く礼を言ってさっさとそれを開けた。
    「ありがとうございます」
     にっこり礼を言う啓太に岩井も優しく微笑む。
     喉は本当に渇いていたので、プルタブを開けて一気に三分の一ほど飲んだ。
    「はぁ~…」
     人心地付いて、啓太はもう一度空を見上げる。
    (和希……頑張ってるかな?)
     その時、タオルの上に載せていた携帯が着信を告げた。
    「?」
    「噂をすれば、か……遠藤だろう?」
    「えっ!」
     クッと中嶋に笑われて焦りながらもディスプレイを見たが…。
    「っ!」
     和希ではない。
     和希ではないが、これは…。
     啓太は慌てて通話ボタンを押した。
    「もしもしっ?」
    『……こんにちは、伊藤君。お忙しいところ申し訳ありません』
    「は、はい…あのそれで俺に何か? それとも…?」
     和希に何かという言葉は飲み込む。
    『実は……』


     一方、啓太が休憩をする少し前の理事長室にて。
    「はぁ~~~~~~」
     仕事は片付けつつも、和希は憂鬱な気分でため息をついていた。
    (追加の仕事がなかったら…俺も今頃は啓太と一緒にいられたのになぁ)
     今日はプール掃除を篠宮の指揮で実施している。
     申請があったから許可は出したものの。
    (篠宮さんもなぁ…プール掃除くらいちゃんと業者に頼んでるんだから、わざわざ自分たちでやらなくても大丈夫なんだけど…)
     でも啓太と一緒ならプール掃除でも何でも楽しいだろうなと思う。
     数日前に、プール掃除を実施するから手の空いてる者は参加するようにと篠宮から寮内で連絡があって啓太と話をしたとき。
    『プール掃除かぁ、そう言えば俺久しぶりだなー』
     と、啓太が少し楽しそうに言っていた。
     そう言えば他の学生も口では「面倒だな」と言いつつもちょっと楽しげにも見える。
    『ん? 啓太、プール掃除やったことあるのか?』
    『あるよ。小学校のときと…中学校も一回やったかな?』
    『そうなのか? 一応、うちでは定期的にプール掃除を専門の業者に頼んでいるんだけど……(だからやらなくても問題はないんだけど)』
    『そりゃここくらい設備がしっかりしてればしなくてもいいんだろうけど…普通の学校はそういうわけにもいかないだろ? 小学校とか中学校じゃ水泳部のある学校もそんなにないし…夏くらいしかプールなんて使わないよ』
    『あぁ、まぁそっか』
    『で、プールの授業が開始する前にどうやって決めるのか知らないけど…クラスでプール掃除させられたり…体育教師に捕まって参加させられたり…』
    『…啓太、頼まれたら断れないもんな』
    『……その視線ちょっと引っかかるけど、まぁ…いいや。でも』
    『でも?』
    『俺、割とプール掃除好きだよ』
    『なんで?』
     暑い中掃除なんて面倒だろうと思うのに、啓太はニコニコと眩しい笑顔で言う。
    『んー、掃除するときもみんなでワイワイしながらやるから面白いし、それに…掃除した後、一番最初にプールで泳げるんだぞ? 水も透き通って綺麗でちょっと得した感じ』
    『ふぅん、そうなのか』
    『和希も一緒にやればわかるよ』
    『そうだな。啓太と一緒ならそれだけで楽しそうだもんな』
    『和希……』
     はにかむ啓太が可愛かった。
     と、回想しても仕事は減らない。
    「はぁ~~~~~~~っ」
     直前まで結構頑張ったつもりだったが、追加で仕事が入ってしまい…今朝から缶詰状態だ。
     クーラーのガンガンきいた部屋で仕事。
     プール掃除をしている者達からは羨ましがられるかもしれないが。
    「俺も行きたかったなー…」
    「和希様、また手が止まってますよ」
    「……」
    「追加分をお持ちしました」
     どさりと書類が追加される。
    「…………
    「何か仰いましたか?」
     にこにこと微笑んではいるものの纏う空気はクーラーで冷えた部屋よりも更に冷たい。
    「……いや別に」
     石塚にしては珍しく厳しい態度だがそれもそのはず。
     朝から和希がため息ばかりついて物思いに耽っているせいで一向に仕事が進まないからだ。
     緊急のものは和希もわかっているのか早く片付けてくれるのだが、そこまで急を要しない仕事についてはペースが遅い。
     仕事を選んでいるからタチが悪いとも言う。
    「早く済ませてしまえば間に合うかもしれませんよ?」
    「……さっきから仕事を追加しまくっておいてそれを君が言うのか…?」
    「何ならまだ追加できますが」
    「…………遠慮する」
     そして、数分後。
     再び。
    「はぁ~~~~~っ」
     理事長室に響くため息。
    「…………」
     ふぅと嘆息し一度退室すると石塚は自分の上着の内ポケットから携帯を取り出した。
    (仕方ありませんね)
     番号は念の為事前に教えてもらっていた。
     仕事の効率を考えて、石塚は迷わずかける。
    『もしもしっ?』
     慌てて通話に出た彼の声に、その様子が想像出来て石塚は思わず口元を緩ませた。
    (これで今日中には仕事が片付きますね)


    「はぁ~…」
     ちょっと窓の外を眺めてみたりしたら、突然。

    ――バンッ!

     と、ドアが開いて。
    「和希っ」
     息せき切って啓太が現れた。
    「えっ? け、啓太?」
    「和希、大丈夫かっ?」
    「お、俺?」
    「だっ、だって…っ」
     走ってきたのか膝に手を当てぜぇはぁと肩で息をする啓太に、和希も慌てて駆け寄る。
    「お前こそ、大丈夫か?」
    「俺の、ことより…和希は?」
    「大丈夫だよ」
    「そっか…よかった」
     安心したのかふわりと笑う啓太に和希も微笑む。
    「でも一体どうしてここに? プール掃除中だったんだろう?」
    「プールの方はもう後は水を入れるだけだったから…俺、電話もらったときちょうど休憩中だったし…だから」
    「電話?」
    「石塚さんから…和希の調子が悪いので今すぐ来て欲しいって…それで俺…ここに…」
    「…………石塚の奴」
     とうとう非常手段に出たらしい。
    「和希、ホントに大丈夫なのか?」
    「あ、あぁ」
     信じて疑わない啓太に良心が痛んだ。
    「ごめんな、心配かけて…ちょっとだけ調子が悪かっただけだから。啓太の顔見たら元気でたし…」
    「和希…」
    「それより、ごめんな。プール掃除の途中で呼び出して…」
    「ううん、いいんだ。俺も掃除中ずっと和希のことばっかり考えてたし……和希に会いたかったから……」
    「啓太……」
     熱い身体をそっと抱き寄せて、顔を寄せた瞬間。

     ――コンコン。

     控えめだがしっかりしたノック音。
    「!」
     二人はびくっと身体をこわばらせて、慌てて離れた。
    「失礼します」
     何事もなかったように、見計らったタイミングで入ってきたのは石塚だった。
    「…………」
     和希の視線は流して、石塚はにっこりと啓太に微笑んだ。
    「あぁ、伊藤君…来てくださったんですね」
    「こんにちは、石塚さん」
    「お忙しいところ申し訳ありませんでした」
    「い、いいえ!」
    「でも本当に助かりました。伊藤君が来てくださったおかげで和希様も随分調子がよくなったようですし……先程までは……」
    「石塚」
     都合の悪いことを喋られる前に制止して、和希は嘆息した。
    「伊藤君、冷たいお茶とお菓子を用意しましたので…もしよろしければこちらでお召し上がりください」
    「えっ、で…でもっ」
    「この暑い中、プール掃除をしていた上にここまで駆けつけてくださったんですから…遠慮しないでください」
     温厚な石塚に促されると啓太も何となく逆らえず、客人用のソファに案内された。
    「あ、ありがとうございます」
    「実は伊藤君にお願いがあるのですが…」
    「はい?」
    「?」
     突然の石塚の申し出に啓太と傍にいた和希も首を傾げる。
    「私はこれから別室にて他の仕事にかからないといけないのですが…また和希様の調子が悪くなったら大変ですので、和希様の仕事が終わるまで付いていてもらいたいのですが…」
    「…っ」
     慌てて制止しようとしたがそれよりも前に。
    「は、はいっ。あの俺でよければ…」
    「助かります。大丈夫ですよ。和希様の仕事もあと少しで終わる予定ですので……ね、和希様?」
    「…………あ、あぁ
     つまり、さっさと終わらせろということかと和希は解釈した。
    「伊藤君が傍について見ていてくださったら私も安心して他の仕事に取り掛かれます」
    「そ、そんな…」
     啓太は照れたように俯く。
     そしてすぐに張り切ったように顔を上げた。
    「でも俺、ちゃんと和希の仕事終わるまで見てます。石塚さんは安心して他の仕事に取り掛かってください」
    「ありがとう。もし何かあったらすぐに知らせてください。私は隣室に控えてますので」
    「はい」
    「一応、30分おきに経過を伺いに参ります」
    「わかりました!」
    「…………」
     つまり、イチャつく暇は与えないということかと解釈。
    「そこにある分の仕事が終われば今日はもうおしまいです。念の為、帰りは和希様とご一緒に…」
    「はい、勿論です。ちゃんと俺が寮までつれて帰ります」
    「…………」
     仕事が終わるまで待っているという啓太の手前、これは意地でも早く終わらせないといけない。
    (やられた……)
     和希は内心で石塚の手腕に頭を抱えつつ、だが……。
    「あとちょっとなんだろ? 頑張ろうな、和希!」
    「……あぁ」
     明るい啓太の笑顔を見て、やっぱり嬉しくて。
    「頑張ってくださいね、和希様」
    「………」
     控える秘書に感謝をせずにはいられない。
    「わかったよ」

     そんな、とある夏の昼下がり。


    ☆というような、短いお話でした(^^;
     途中で止めていてすみません。
     理事長ちょっと今回はダメモード発動中です。
     でも啓太にはあんまり呆れられたくないのでこの後はちょっと頑張って仕事を終わらせます。
     プールに入れたかどうかは皆様のご想像にお任せしますねv
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