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    授業中の一コマ。

    5時間目。
    視聴覚室にてビデオ鑑賞中。
    隣には当たり前のように和希がいる。

    「……」
    「………」

    だけど、ちょっと不機嫌。

    (うぅ…怒ってる…のか?)

    原因は昼休みのアレだ。
    昼食を和希と食べて、移動教室だからと教科書片手に教室を出た。
    廊下で偶然(だと啓太は思っているのだけれど)成瀬に遭遇。
    これはいつものこと。
    噛み付きそうな和希をなだめつつ少しだけ立ち話。
    挨拶しての別れ際。
    頬っぺたにキス。
    これもその…割とよくあることで。
    颯爽と去られてしまってはもう「仕方ないなー」と苦笑いで見送るしかない。

    が。
    その後から和希の機嫌が悪い。

    (やっぱりさっきの、だよなぁ…)

    どうにかしたくとも授業中。
    「……」
    さて、どうしよう。

    (…よしっ)

    啓太は意を決して手を伸ばした。

    「!」
    「……」

    今なら暗いから。
    きっと誰も見てないから。

    ぎゅっ。

    (俺だって、好きなんだから…)

    机の下、重ねた手を握る。

    (和希のこと、ちゃんと好きなんだからな…!)

    想いをこめて。

    「……」

    頬はきっと赤いだろうけど見えないから気にしない。

    ぎゅっ。

    (あ……)

    長い指が絡んで握り返す。
    強く。

    思わず隣を見た。
    暗闇だけど、わかる。
    大人の顔で困ったように微笑う和希。

    繋いだ手はそのままに。
    顔を寄せ囁く。

    『ごめん…でも』

    好き、だから。

    『…うん、でも俺も』

    好き、だから。

    「「……」」

    見つめ合って二人で苦笑。

    ぎゅっ、と。

    もう一度、繋いだ手を強く握る。
    互いの想いを伝えるために。


    授業終了の鐘が鳴るまで。







    ☆何してるんですか、あーた達…なシロモノでした(笑)
    視聴覚室とかなら普通に一緒に座ってそうだから…まー暗闇でイチャつくのもアリかな、と。

    …待ち時間長いんです。病院は(笑)

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