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    始まりの空へ

    『+つき砂時計+』のぴぱる様へ


    「4年弱本当にお疲れ様でした!」の意を込め捧げます(^^)



    「友達だろっ」ED後の二人。
    それでもよろしければ「つづき~」からどぞv

    拍手




    『始まりの空へ』




    見上げた空は、どこまでも青かった。

    頭上には大地を万遍なく照らす太陽。

    「……っ」

    光の強さに目を細め、和希は咄嗟に右手を額の上に翳し影を作る。

    ――本日モ晴天ナリ。

    十人いたら十人がそう言うだろう。

    それほど見事な、夏の、空。

    「……啓太」

    どこまでも広がる澄んだ蒼天に、世界で一番大切な”あの子”へ想いを馳せる。

    全てはあの夏から始まった。


    啓太は……もう覚えてはいないけれど……。


    「……」

    和希は静かに微笑んだ。

    (贅沢、だな…)

    心からそう思える。
    だって。

    啓太は”空”ではない。

    「和希ー!」

    手を伸ばせば届くほど、近くにいるのだから。

    「見つけた…っ!」

    思い出の中の小さな啓太じゃない。


    背も、手も伸びて。
    すっかり大きくなった啓太が和希に向かって駆けてくる。
    一生懸命さはそのままに。

    「やっと、見つけた…っ」

    ぎゅっ、とその指で触れ。
    掴んでくれる。

    「ったく…お前寮にいないから…っ、俺、学園中走り回った…だろ…っ」

    和希の腕を掴んだまま、ぜぇはぁと繰り返される荒い呼吸。
    上下に揺れる肩。

    「ははっ、ごめんごめん。ちょっと…手芸部に用があってさ…」

    偽りの言葉はするりと口をついて出た。

    「えー、また手芸部かー…?」
    「そうなんだ。まーた先輩に呼び出されちゃってさ」

    それは伊藤啓太の”親友、遠藤和希”の理由。

    (ごめん、啓太…)

    啓太の隣にいるためならば、いくらでも演じてみせる。
    ”親友、遠藤和希”を。

    「……そっか」
    「ごめんな、探させちゃって」
    「ううん…いいんだ」

    和希の腕を掴んだまま、顔を上げ啓太が笑った。

    「こうして、和希にちゃんと……会えたから」

    嬉しそうに。

    「啓太…」

    手が届く場所に、愛おしい人がいる。

    毎日毎日。
    喋り、笑い、触れあって。

    それは、とても幸せなこと。
    異国の空の下、ただ想いを馳せていた頃に比べれば。
    ずっとずっと幸せすぎる日々。

    だから。
    啓太が思い出すまではと自らに枷をつけた。

    この関係が壊れるのは嫌だから。
    思い出さなければそれでも構わない。

    そう、決めた。


    けれど。

    こんなに……
    蒼く澄んだ空を見てしまったら。

    「和希…?」

    あの――愛おしく切ない夏、を。
    どうしようもなく呼び起こす。

    (人はどんどん…贅沢になっていくんだな…)

    共有したくて。
    思い出してほしくて。


    (たまらなくなるんだ――…)



    「和……、っ!?」


    いっそ全部吐き出してしまえたら。
    でも。
    真実を告げて失くすのは怖い。

    「……」
    「……」

    矛盾した二つの気持ち。
    どちらも飲み込んだまま、和希はただ啓太を抱きしめた。

    「和、希…?」

    腕の中で戸惑う啓太の声に。

    「………」

    ゆるやかに双眸を閉じる。

    「…………」

    再び。
    ”親友、遠藤和希”の仮面を被るため。

    「和…」
    「びっくりしたか?」

    悪戯っ子のように啓太に微笑み、抱きしめていた身体をそっと解放する。

    「啓太が、こんな汗だくになってまで、俺のこと必死に探してくれたから…」

    大丈夫。
    これは偽らざる真実の言葉。

    「なんかもー…俺、すっごく感動してさー…」

    あはは、といつもの調子で冗談めかしに笑い。
    掴んでいた腕から指を離す。

    「だから、その気持ちを身体で表現してみた」
    「なっ、なんだよそれっ」

    にっこり笑い、過度なスキンシップなのだと結論付けて。

    「びっくりしたか?」
    「当たり前だろっ?」
    「そっか…」

    完全に離れ、背を向ければ。
    ほら――。

    「ごめん、な」
    「え…っ?」


    ”親友”の距離に戻れるはず。


    「和希…っ」
    「!?」

    呼び声に振り返ろうとした和希は途中で固まった。

    啓太、が。
    しがみついていたから。

    「け、啓太…?」

    ぎゅっ、と。
    縋るように強く、和希の背にしがみついた啓太は。

    「あ、あれ…?」

    混乱しているようだった。

    「急に…どう、したんだ…?」
    「よく、わか…らな、い…」

    訳もわからず。
    だが。

    「わからない……でも…」

    離れる気配は、ない。

    「でも…?」

    どくん。

    「和希の背中、と、空、を見たら……」

    どくん。

    「何か、胸がすごく痛くて…ただ、無性に…」

    どくん。

    「”もう二度と”離しちゃいけないって……」
    「……っ」

    触れた肌から伝わるこのオトは、誰のモノなんだろう。

    「そう、思った……」
    「………」
    「なんでか、わかんないけど…」

    そう思ったんだ、と繰り返す啓太の声は消え入りそうなくらい小さくて。
    でも、確かに和希の耳には届いた。




    啓太が全てを思い出す日、も。
    和希が全てを告げる日、も。

    そう遠いことではないのかもしれない。



    ――思い出さないかもしれない。
    ――告げられないかもしれない。

    これからどうなるかなんて、きっと誰にもわからない。
    けれど。


    「俺たち、ずっと一緒だよな?」


    君が願ってくれるなら。
    二人の始まりの空に誓おう。


    「……あぁ」


    この手は”もう二度”と離さない。






    見上げた空は、どこまでも青かった――。






    ...end







    † after word †
    うわあああぁぁ…orz←穴掘り中
    もうどうしましょうか…ね(--;
    あー、えーと…。
    わかりづらいけど一応これでも「友達だろっ!」ED後の二人でございます…よ?(^^;

    啓太まだ思い出してなくて。
    和希まだ言えなくて。
    親友同士で「キャッキャウフフv」してる二人です(待て)

    この4年(弱)の間、
    素敵な和啓の世界を描いてくださった、
    『+つき砂時計+』のぴぱる様へ捧げさせていただきます。

    可愛くて切なくて優しい和啓をありがとうございました!
    大好きでしたーvvv
    本当に本当にお疲れ様ーー!!(≧△≦)わぁああん

    ・・・何とか今日中に間に合った。orz
    超ギリギリだったので、こっちにUPなのです。。。
    久々でなんかもうグダグダになっててホントどうしようですが…
    その辺は武士の情けで見逃してやってくださいまし(^^;




    *ぷちっと私信な呟き*
    「たん☆」は私も墓穴掘ってるなーと思った。
    だから「誘い受け」なんだよね「たん☆」
    頼むから、時間ぎりぎりまでやってください(^^;
    私も時間ギリギリまでしっかり告知しますv(イヤガラセか)

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